WINE REVIEW
エスパス ブリュットは買い?1,300円のチリ産泡
サミットで1,300円のチリ産スパークリング、エスパス・オブ・リマリ ブリュットを正直レビュー。シャルドネ85%にピノ・ノワールという、シャンパーニュと同じブドウの組み合わせ。キメ細かい泡とシャープな酸、石灰質由来のほろ苦い余韻が持ち味です。いちじくとマスカルポーネのペアリングも紹介します。
先日、泡の違いは?シャンパーニュ・カヴァ・プロセッコという記事を書きました。泡の作り方には瓶内二次発酵とタンク方式の2種類がある、という話です。
今回の1本は、そのタンク方式のわかりやすい実例です。サミットで1,300円、チリのスパークリングワイン。エスパス・オブ・リマリ ブリュットです。
結論から書きます。この価格帯の泡としては、文句なしの★5でした。
エスパス・オブ・リマリ ブリュットの基本情報(価格・どこで買える)
- ワイン名:エスパス・オブ・リマリ ブリュット(Espace of Limari Brut)
- 造り手:マイカス デル リマリ(Maycas del Limarí)
- 産地:チリ北部/リマリ・ヴァレー
- 品種:シャルドネ 約85〜87%、ピノ・ノワール 約13〜15%
- 製法:シャルマ方式(密閉耐圧タンク)
- タイプ:白・辛口スパークリング
- 価格:1,300円 ※店舗・時期により変動します
- 買えるお店:サミット
ネットで買う場合はこちら。店頭とほぼ同じ価格です。
※ネットでもほぼ同じ価格帯です。
ブドウの組み合わせは、シャンパーニュと同じです
まず面白いのが、品種の構成です。
シャルドネが約85%、ピノ・ノワールが約15%。この2つは、シャンパーニュで使われる主要品種そのものです。シャルドネで骨格と酸を作り、ピノ・ノワールでふくらみを足す。考え方は同じです。
ただし、製法が違います。シャンパーニュが瓶の中で泡を作るのに対し、このワインはシャルマ方式。大きなタンクの中でまとめて二次発酵させる方法です。
短期間で仕上がるぶん、ブドウのフレッシュな果実の香りがそのまま残るのが持ち味です。製法の詳しい違いは泡の記事にまとめています。
リマリ・ヴァレーは、チリの「北なのに涼しい」産地
産地のリマリ・ヴァレーは、チリ北部にあります。
「北=暑い」と思いがちですが、ここは冷涼な産地です。しかも土壌は石灰質。この2つの条件が、このワインのシャープな酸とミネラル感を生んでいます。
チリのスパークリングでは、当ブログでヴァルディビエソ ブリュットも紹介しています。飲み比べると、同じチリでも産地による違いが出ます。
実際に飲んだ感想(味・香り)
グラスに注ぐと、澄んだ輝きのある淡いレモンイエロー。
キメ細かい気泡が、途切れることなく直線的に立ちのぼります。この泡の持続が、まず目で楽しめます。
香りは、レモンやグレープフルーツの爽快な柑橘が主体。そこに青リンゴや洋ナシのみずみずしいアロマが重なります。奥から白い花と、かすかな火打石のようなニュアンス。冷涼な産地らしい、クリスプなミネラル感です。
口に含むと、アタックは軽快でドライ。繊細な泡が心地よい刺激をもたらし、引き締まったシャープな酸が果実のフレッシュさを際立たせます。
中盤にはふくよかな果実味が出てきますが、過度な甘さは残りません。そして最後に、石灰質土壌を思わせるわずかなほろ苦さとミネラル感が、後味をすっきりと引き締めます。
正直な評価:★5
このワインには**★5**をつけました。当ブログでは50本以上を紹介してきて、★5はコノスル ピノ・ノワールに続いて2本目です。
理由は3つあります。
まず、泡がきちんとしていること。1,000円台のスパークリングは泡が粗くてすぐ消えてしまうものも多いのですが、これはキメが細かく、グラスの中で持続します。
次に、構成が真面目なこと。安い泡にありがちな「甘さでごまかす」造りではなく、酸とミネラルで最後まで引き締めています。
そして、この内容で1,300円であること。シャンパーニュと同じブドウの組み合わせを、この価格で試せます。
この泡の個性は「後味のほろ苦さ」です
安いスパークリングにありがちなのは、甘さでごまかす造りです。
このワインはそこが違います。中盤に果実味のふくらみはあるのに、最後はほろ苦さとミネラル感で締める。だらだらと甘さが残らないので、食事に合わせても邪魔をしません。
1,300円という価格を考えると、この構成はかなり真面目です。
おすすめのペアリング:フレッシュいちじくとマスカルポーネの白和え風ディップ
合わせたのは、生のいちじくとマスカルポーネ。作業時間は約1分半、火も包丁もほとんど使いません。
材料(1人前)
- 生のいちじく 1個(皮をむき、くし形に4〜6等分)
- マスカルポーネチーズ 約40g
- はちみつ 小さじ1
- レモン果汁 小さじ1/2
- ローストミックスナッツ(粗く砕く)小さじ1
- 粗挽き黒胡椒 少々
- プレーンクラッカー(または薄切りのメルバトースト)4〜5枚
- フレッシュミント 1枝(お好みで)
作り方
- 小さなボウルにマスカルポーネ、はちみつ、レモン果汁を入れ、スプーンでなめらかになるまで手早く混ぜ合わせる
- 平皿の中央にディップを盛り、横にくし形に切ったいちじくとクラッカーを扇状に並べる
- ディップの上に粗く砕いたミックスナッツを散らし、粗挽き黒胡椒を軽くふる。ミントを添えて完成
はちみつは小さじ1までにしてください。多く入れると料理が甘くなりすぎて、辛口の泡の酸が痩せて感じられます。
なぜ合うのか? ポイントは3つあります。
- ローストナッツの香ばしさ × 後味のほろ苦さ:ここが今回の核心です。このワインの余韻にある石灰質由来のほろ苦さと、ナッツの香ばしさが同じ方向を向いています。ナッツは飾りではなく、料理とワインをつなぐ部品です。
- キメ細かい泡が、乳脂肪をリセットする:マスカルポーネのやさしいコクを、持続する細かい泡が流してくれます。泡と乳製品は鉄板の組み合わせです。
- シャープな酸が、いちじくの甘みを受け止める:いちじくとはちみつの上品な甘さを、引き締まった酸がきれいに支えます。甘い料理に辛口の泡、という一見ちぐはぐな組み合わせが成立するのは、この酸のおかげです。
仕上げの黒胡椒も省かないでください。 ピリッとした刺激が全体の輪郭をはっきりさせ、味がぼやけるのを防いでくれます。
こんな人におすすめ
- 甘くない泡を探している人(後味がすっきり締まります)
- シャンパーニュは高い、でもちゃんとした泡が飲みたい人
- チリワインの赤や白は飲んだことがあるけれど、泡は未体験という人
- チーズやナッツをつまみにすることが多い人
- 泡の製法の違いを、実際に飲んで確かめてみたい人
逆に、甘くてフルーティな泡が好きな方には向きません。このワインは辛口で、後味にほろ苦さがあります。甘口を探しているなら、モスカート系のほうが好みに合うはずです。
まとめ
サミットで1,300円、チリ北部リマリ・ヴァレーのスパークリング。
シャンパーニュと同じブドウの組み合わせを、タンク方式で仕上げた1本です。キメ細かい泡とシャープな酸、そして石灰質を思わせる後味のほろ苦さが持ち味。甘さでごまかさない、真面目な造りです。
当ブログでは2本目の**★5**をつけました。1,000円台で泡を探しているなら、まずこれを試してほしい1本です。
生のいちじくとマスカルポーネを混ぜるだけで、おうちがワインバーになります。ナッツを散らす一手間だけは、忘れずに🥂
近くにサミットがない方は、こちらから。
※ネットでもほぼ同じ価格帯です。