WINE REVIEW
ビアンコ・ヴェネトは買い?1,200円のイタリア白
イトーヨーカドーで1,200円のイタリア・ヴェネト州の白、パスクア ビアンコ・ヴェネトを正直レビュー。青リンゴとレモンの皮、角の残らない和らいだ酸。同じ造り手・同じ品種・同じ値段のソアーヴェとの飲み比べと、市販のアサリの酒蒸しを2分でポルトガル風に変えるペアリングも紹介します。
先日、パスクア ソアーヴェという白を紹介しました。評価は★3。悪くはないけれど、凝縮感が乏しく少し水っぽい、と正直に書いた1本です。
今回は、同じパスクアが造る、もう1本の白。イトーヨーカドーで1,200円のビアンコ・ヴェネトです。
品種もほぼ同じ、値段も同じ。それでいて、こちらは★4をつけました。
ビアンコ・ヴェネトの基本情報(価格・どこで買える)
- ワイン名:ビアンコ・ヴェネト(Bianco Veneto)※ラベルには VILLA BORGHETTI(ヴィラ・ボルゲッティ) と大きく書かれています
- 造り手:パスクア(Pasqua)/1925年創業、ヴェローナの家族経営
- 産地:イタリア/ヴェネト州(IGT ヴェネト)
- 品種:ガルガネーガ主体、トレッビアーノほかブレンド
- タイプ:白・辛口
- アルコール:約12%
- 価格:1,200円 ※店舗・時期により変動します
- 買えるお店:イトーヨーカドー。ネット通販ではもっと安く見つかることもあります(後述)
今回は珍しく、ネットのほうが安いパターンでした。店頭の1,200円に対し、楽天では800円前後で見つかります(2026年9月時点)。送料はかかるので、まとめ買いのときに検討する価値があります。
※価格は変動します。ヴィンテージが指定されていない場合や、商品名が「ビアンコ・デル・ヴェネト」と表記されている場合があります。
「IGT」ってなに? ソアーヴェとの違い
ラベルの表記が、前回のソアーヴェとは違います。
- ソアーヴェ … DOC(産地を限定した、格付けが上の呼び名)
- ビアンコ・ヴェネト … IGT(もっと広い地域で名乗れる、格付けとしては下)
イタリアワインの格付けは、ざっくり言うと産地をどれだけ狭く限定しているかで決まります。狭いほど「その土地らしさ」が求められ、格上とされます。
ソアーヴェはヴェネト州の中の特定エリアだけの呼び名。一方のビアンコ・ヴェネトは、ヴェネト州で採れたブドウなら名乗れる、もっとおおらかな枠です。
つまり、格付けの上ではソアーヴェのほうが上ということになります。
実際に飲んだ感想(味・香り)
このワインを開けるたびに、気軽に入れるイタリアンで飲む白ワインだなぁと肩の力が抜けます。
派手さはないけれど、「あ、今日はこれでいい」と思わせてくれる一本。
青リンゴやレモンの皮を思わせる控えめな果実に、和らいだ酸がすっと溶け込んでいて、飲み込んだあとに角が残りません。ミネラル感のある、軽やかでフルーティな白です。
よく冷やして、まだ料理が出てくる前の「何でもない時間」に一杯やるのが好きです。ヴェローナの家族が100年造り続けてきた、その気取らなさが、そのままグラスに入っている感じがします。
正直、最初の一杯目として、これ以上気の利いた白はそう多くありません。
格付けが上でも、おいしいとは限らない
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
同じ造り手、ほぼ同じ品種、同じ1,200円。格付けはソアーヴェ(DOC)が上。それでも当ブログの評価は、
- パスクア ソアーヴェ(DOC)… ★3
- パスクア ビアンコ・ヴェネト(IGT)… ★4
と、逆になりました。
ソアーヴェのほうは、香りの要素は揃っているのに味の密度が追いつかず、水っぽさが気になりました。対してこちらは、最初から「軽やかであること」に徹している分、飲んでいて引っかかりがありません。狙いと中身が一致しているぶん、満足度が高いのです。
格付けは「産地の狭さ」を示すもので、おいしさの順位ではありません。 売り場でラベルの格付けだけを見て選ぶと、こういう逆転を見落とします。
ガルガネーガという品種
主役のブドウはガルガネーガ。ソアーヴェにも使われている、ヴェネトの土着品種です。
日本ではあまり名前を聞きませんが、この地域の白はたいていこの品種が主役です。青リンゴや柑橘の皮を思わせる控えめな果実と、後味のほろ苦さが持ち味で、名前を覚えておくと売り場で役立ちます。
ちなみにヴェネト州は、プロセッコの産地でもあります。イタリア北東部は、爽やかな白と泡の産地だと覚えておくと整理しやすくなります。
おすすめのペアリング:アサリのポルトガル風コリアンダーガーリック蒸し
合わせたのは、市販のアサリの酒蒸し。レンジで1分、作業時間は約2分です。
材料(1人前)
- アサリの酒蒸し(市販)約100g ※殻付き・煮汁ごと
- エキストラバージンオリーブオイル 小さじ1
- おろしニンニク(または刻みニンニク)ごく少々/小さじ1/4弱
- レモン果汁 小さじ1/2
- 粗挽き黒胡椒 少々
- フレッシュパクチー(またはイタリアンパセリ)刻んで大さじ1〜2、どっさり
- カットレモン(くし形)1切れ
作り方
- 耐熱の深皿にアサリの酒蒸しを煮汁ごと入れ、おろしニンニクとオリーブオイルを加える。ラップをして電子レンジ(600W)で約1分加熱する
- 加熱後、煮汁にレモン果汁を回しかけ、器を軽く揺すって出汁とオリーブオイルを馴染ませる(軽く乳化させる)
- 天面に刻んだパクチーを山盛りにあしらい、粗挽き黒胡椒をふる。器の縁にカットレモンを添えて完成
ニンニクはごく少量にしてください。小さじ1/4弱で十分です。入れすぎると、この軽やかな白が完全に負けます。
なぜ合うのか。 この皿にこのワインを合わせたとき、正直「やられた」と思いました。
まず前提として、あさりの酒蒸しは、意外とワインを選びます。貝の出汁に加えて、日本酒のふくよかさがあるからです。
- 重すぎるとワインが勝ってしまうので、軽やかなタイプであること
- かといって、ミネラル感がないと合わさらない
この2つを同時に満たす白は、実はそう多くありません。軽やかで、果実味が柔らかく、ミネラル感がある——それが理想の条件です。
このビアンコ・ヴェネトは、まろやかに溶けた酸が出汁の旨味にすっと寄り添って、喧嘩しません。
そして何より、パクチーのあの青々しい香りです。ここにガルガネーガの穏やかな果実と、ほんのりした青みが呼応します。エスニックな香草を「和らげる」のではなく、「同じ目線で並んでくれる」感覚。この一点だけでも、合わせる価値があります。
ニンニクとオリーブオイルのコクは、レモンの皮を思わせる後味のほろ苦さがすっきり片づけてくれます。
強い白では、この料理は成立しません。 このワインの「派手さはないけれど」という性格が、そのまま長所になる組み合わせです。
こんな人におすすめ
- 一杯目に開ける白を探している人
- イタリアンや魚介の日に、手堅く合う白を1本置いておきたい人
- 貝類やあっさりした料理をよく食べる人(強い白より、こちらが合います)
- ワインを飲み慣れていない人への、最初の1本
- 格付けにとらわれず選びたい人
逆に、「1杯でしっかり満足したい」「香りや味に驚きがほしい」という方には物足りません。このワインは主張ではなく、居心地のよさで選ぶタイプです。
まとめ
イトーヨーカドーで1,200円、ヴェネト州の気取らない白。
青リンゴとレモンの皮、和らいだ酸。飲み込んだあとに角が残らないのが、いちばんの美点です。
そして、同じ造り手・同じ品種・同じ値段のソアーヴェより格付けは下なのに、評価は上になりました。格付けは産地の狭さを示すもので、おいしさの順位ではない。 売り場で選ぶときに、覚えておいて損のない話だと思います。
まだ料理が出てくる前の、何でもない時間に。よく冷やしてどうぞ🍋
まとめ買いなら、ネットのほうが安く済みます。
※価格は変動します。ヴィンテージが指定されていない場合や、商品名が「ビアンコ・デル・ヴェネト」と表記されている場合があります。