WINE REVIEW
コノスル カルメネールは買い?約900円のチリ赤を正直レビュー
コノスル ビシクレタ・レゼルバ カルメネールを正直レビュー。1本あたり約900円。カシスと青ピーマンの香りは個性的ですが、単体では酸が足りず物足りない★3でした。ピーマンの肉詰めを2分でビストロの一皿に変えるペアリングで、このワインは化けます。
先に結論から書きます。このワインは、単体で飲むワインではありませんでした。
今回はチリの赤、コノスル ビシクレタ・レゼルバ カルメネールです。ネットの6本セットで5,380円、1本あたり約900円でした。
評価は**★3**です。その理由と、それでも紹介する理由を書きます。
コノスル ビシクレタ カルメネールの基本情報(価格・どこで買える)
- ワイン名:コノスル ビシクレタ・レゼルバ カルメネール
- 造り手:コノスル
- 産地:チリ
- 品種:カルメネール
- ヴィンテージ:2023
- タイプ:赤・辛口
- アルコール:13%
- 価格:6本セット5,380円(1本あたり約900円)
- 買った場所:インターネット
ピンクのラベルに自転車が描かれた、おなじみのビシクレタシリーズです。ボトルの首には「THE WORLD’S MOST ADMIRED WINE BRANDS 2024」という金色のシールが貼られていました。世界で最も称賛されるワインブランドを選ぶ企画で、これは銘柄ではなく造り手コノスルに対する評価です。
当ブログでビシクレタを紹介するのは、ゲヴュルツトラミネール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、ピノ・ノワールに続いて5本目になります。
実際に飲んだ感想(味・香り)
グラスに注ぐと、黒みを帯びた濃いガーネット色。グラスを回すと、とろりとした粘性がはっきり見えます。
- 香り:カシスとブラックチェリーの甘酸っぱさ。その奥からローストパプリカ、生ピーマン、黒胡椒
- 味わい:最初の甘みはなめらか。中盤から舌先に熱っぽさが残る
- 余韻:短め。後味にやや乾いた苦味
香りの入口までは、良いんです。問題はそのあとでした。
気になったのは「まとまり」でした
アルコールのツンとした揮発感が、果実の奥から前に出てきます。ハーブの青い香りと果実味が、最後まで溶け合ってくれませんでした。
味わいも、酸が穏やかすぎて起伏が少なく、平板に感じます。余韻が短いので、グラス2杯目で少し疲れました。
アルコールは13%しかありません
ここが面白いところです。
熱っぽさを感じたので度数が高いのかと思いましたが、ラベルを確認すると**13%**でした。チリの赤としては、高いほうではありません。
つまり度数が高いから熱く感じたのではありません。 支える酸が足りないぶん、アルコールが裸で立ってしまっている、ということだと思います。
骨組みが弱いと、数字以上に熱く感じる。今回いちばん勉強になった点でした。
カルメネールって、どんなブドウ?
聞き慣れない品種だと思うので、簡単に紹介します。
もとはフランスのボルドーの品種です。ただし現在のボルドーでは、ほとんど見かけません。
このブドウはチリに渡ったあと、長いあいだメルローだと思われていました。 別の品種だと判明したのは1990年代のことです。今ではチリを代表する品種のひとつになっています。
間違われたまま育って、あとから正体が分かったブドウ、というわけです。
見分けやすいのが、ローストしたパプリカや生ピーマンのような青い香りです。今回のボトルにも、はっきり出ていました。「赤ワインなのにピーマン?」と思われるかもしれませんが、これは欠点ではなく、この品種の個性です。
★3でも紹介する理由
1,000円前後のワインに、完璧なまとまりを求める必要はないと思っています。
それよりも大事なのは、はっきりした個性があるかどうかです。個性があれば使い道があります。まとまってはいるけれど何の印象も残らないワインより、よほど扱いやすいのです。
このワインには「青さとスパイス」という、非常にはっきりした個性があります。そして単体では浮いて聞こえたその個性が、料理と合わせた途端に意味を持ちました。
おすすめのペアリング:ピーマンの肉詰め(クミン香るバルサミコトマト)
合わせたのは、スーパーの惣菜コーナーのピーマンの肉詰めです。作業時間は2分、火はトースターだけです。
材料(1人前)
- ピーマンの肉詰め(市販のチルド惣菜)……2個
- 市販のトマトソース……大さじ1
- バルサミコ酢……小さじ1/2
- クミンパウダー……ひと振り(小さじ1/8ほど)
- エキストラバージンオリーブオイル……小さじ1/2
- パルミジャーノ(または粉チーズ)……小さじ1
- 粗挽き黒胡椒……少々
- タイム……少々
作り方
- 軽くレンジで温めた肉詰め2個を、耐熱皿に並べる
- 小さなカップでトマトソース、バルサミコ酢、クミンパウダー、オリーブオイルを混ぜ、肉詰めにかける
- トースターで1分ほど、ソースがグツグツいうまで焼く
- パルミジャーノを削ってのせ、粗挽き黒胡椒をふり、タイムを添えて完成
クミンは入れすぎないでください。 小さじ1/8ほど、ひと振りで十分です。多いとカレーの香りになって、ワインとの接点がぼやけます。
なぜこの組み合わせが合うのか
1. ピーマンの香りが、両側にある
ワインから青ピーマンの香りがして、料理がピーマンそのものです。これ以上に分かりやすい同調はありません。
面白いのはその先で、単体では浮いて聞こえた青い香りが、皿の上にピーマンがあるだけで浮かなくなります。 同じ香りが隣にあると、それは異物ではなく主役になるのです。
この考え方はワインと料理、何を合わせればいい?で「香りを重ねる」として書きました。今回はその、いちばん極端な実例です。
2. 足りなかった酸を、料理が補う
実は、こちらのほうが大きな仕事をしています。
このワインの弱点は「酸が穏やかすぎて平板」でした。そこにトマトソースとバルサミコ酢が入ります。ワイン側に足りなかった酸を、料理側が持ち込んでくれるのです。
口の中で合わさったときに、はじめて起伏が生まれます。ワイン単体では出せなかったものが、皿と組んで出てくる、という状態です。
3. 脂が、アルコールを包む
気になっていた熱っぽさは、肉汁とパルミジャーノの脂が包んでくれました。13%と度数自体は高くないので、支えるものさえあれば浮かずに収まります。
4. クミンと黒胡椒は、上乗せ
ワインが持っている黒胡椒の香りに、クミンと粗挽き黒胡椒が重なります。ここは弱点の補強ではなく、もともと強い部分をさらに強くする足し算です。
こんな人におすすめ
- カルメネールを飲んだことがない人
- 料理と一緒に飲むワインを探している人
- 個性のはっきりしたワインが好きな人
- スーパーの惣菜をワインのつまみに変えたい人
逆に、ワインだけをゆっくり味わいたい日には向きません。 そこははっきり書いておきます。
まとめ
コノスル ビシクレタ カルメネールは、1本あたり約900円のチリの赤。カシスと青ピーマン、黒胡椒の個性ははっきりしていますが、酸が足りず、単体では★3でした。
ただし、ピーマンの肉詰めと合わせた瞬間に、このワインは化けます。 香りが重なり、足りなかった酸を料理が補い、脂がアルコールを包む。ワインの評価は、ワインだけで決まるものではないと改めて思いました。
食卓に出すためのワインとして、この値段なら十分だと思います。