WINE REVIEW
ワインと料理、何を合わせればいい?覚えるのは3つだけ
ワインと料理のペアリングの基本を、3つの原則にしぼって解説します。色を合わせる、重さを合わせる、香りを重ねる。スーパーの惣菜べつの早見表と、青魚に赤ワインを避ける理由もあわせて紹介します。
ワインは買えた。でも、今日の夕飯に合うのか分からない。
そこで止まってしまう人は、とても多いと思います。当ブログでも毎回「なぜ合うのか」を書いていますが、その土台になる考え方を1本にまとめたことがありませんでした。 今回がその回です。
結論から言うと、覚えるのは3つだけです。
ペアリングは、難しいことをしていない
「ペアリング」という言葉が、身構えさせてしまっているだけだと思います。
実際にやっているのは、とても単純なことです。ワインと料理の「どこかを揃える」。 それだけです。
揃える場所が3つある、というだけの話です。
- 色を合わせる
- 重さを合わせる
- 香りを重ねる
上から順に、簡単な順に並べています。①だけでも十分です。
原則① 色を合わせる

いちばん覚えやすい入口です。
- 白い食材には、白ワイン……魚、鶏肉、豆腐、白身の惣菜
- 赤い食材には、赤ワイン……牛肉、トマト、醤油やソースで色が濃いもの
「白ワインには魚、赤ワインには肉」という言い方を聞いたことがあると思います。あれを少しだけ広げたものです。肉か魚かではなく、皿の色で考えるほうが、実際の食卓では使えます。
たとえば鶏肉。肉ですが白いので、白ワインのほうが合います。豚肉のしょうが焼きは、肉の色は薄くてもタレで色が濃くなるので、軽めの赤が合います。
例外はいくらでもあります。でも入口としてはこれで十分です。 迷ったら、まず皿の色を見てください。
実例としては、ME ソーヴィニヨン・ブランに真鯛のセビチェを合わせた回が分かりやすいと思います。白い魚に、白いワイン。それだけの話です。
原則② 重さを合わせる

実は、これがいちばん外しません。
- 軽い料理には、軽いワイン(冷奴、刺身、サラダ)
- 濃い料理には、濃いワイン(煮込み、ハンバーグ、焼肉)
- 揚げものには、泡
なぜ重さを揃えるのかというと、どちらかが勝つと、もう片方が消えるからです。
濃い料理に軽いワインを合わせると、ワインがただの水のように感じます。逆に軽い料理に重いワインを合わせると、料理の味が分からなくなります。どちらが上でもなく、同じくらいの力にするのがコツです。
重さの見当をつける手がかりは、アルコール度数です。おおよそですが、11%前後なら軽い、14%前後ならしっかりしています。ラベルに必ず書いてあるので、売り場で確認できます。
分かりやすい例がエヴォディアです。アルコール14%の厚みがあったので、焼き芋とマスカルポーネという濃厚な一皿を受け止められました。これが軽い赤だったら、料理に負けていたと思います。
逆の例がME ピノ・ノワールです。軽やかな赤なので、合わせたのはナスの煮浸し。焼肉ではありません。
そして揚げものには泡。炭酸と酸が油を流してくれるので、次の一個に手が伸びます。泡の種類については泡の違いは?シャンパーニュ・カヴァ・プロセッコにまとめました。
原則③ 香りを重ねる

ここから、急に面白くなります。
やることは単純で、ワインの香りと同じものを、料理に足すだけです。
先日のカザル・ダ・セアラ ヴィーニョ・ヴェルデが、まさにこれでした。このワインの香りはライムの皮でした。そこで、料理の仕上げにすだちの皮をすりおろしました。
果汁ではなく、皮どうしです。柑橘の香りは、果汁と果皮でまったく別物で、果汁は酸味を、果皮は香りを担当します。ワイン側が皮寄りの香りだったので、料理側も皮を立てると、同じ方向でぴたりと重なりました。
エヴォディアのときも同じ考え方です。このワインは黒胡椒の香りを持っていたので、料理にクミンを効かせました。スパイス同士が同じ方向で並びます。
同じ香りが両側にあると、別々だった味が一つにまとまります。 ひとすりで景色が変わるので、試す価値があります。
やり方は、こうです。
- ワインをひと口飲んで、何の香りがするか、ひとつだけ言葉にする(レモン、ハーブ、胡椒、チェリーなど)
- その香りに近いものを、料理の仕上げに少し足す
レモンやすだちの皮、黒胡椒、ハーブ。冷蔵庫にあるもので足りますし、入れるのはごく少量で十分です。
保存版・惣菜べつ早見表
スーパーやコンビニの惣菜を前提にした早見表です。
| 惣菜 | 合わせるワイン |
|---|---|
| 刺身、冷奴 | 軽い白 |
| から揚げ、フライ | 泡 |
| 焼き鳥(塩) | 軽い白か泡 |
| 焼き鳥(たれ) | 軽めの赤 |
| ハンバーグ、煮込み | しっかりした赤 |
| さんま、いわし | 白(赤は避ける) |
同じ焼き鳥でも、塩とたれで変わるのがポイントです。塩は素材の色のまま、たれは色が濃くなります。原則①がそのまま効いています。
迷ったら、泡です。 いちばん守備範囲が広く、和洋どちらにも寄れます。
ひとつだけ、覚えておくと得なこと
青魚に赤ワインを合わせると、生臭さが出ることがあります。
これは、ワインに含まれる鉄分が魚の脂と反応して生臭い風味を生むためと言われています。鉄分は一般に赤ワインのほうが多く含まれます。
さんま、いわし、あじ、さばの日は、白にしてください。この1点を知っているだけで、大きな失敗がひとつ減ります。
3つを同時に使わなくていい
最後にひとつ。3つ全部を毎回考える必要はありません。
①の色だけで、日常の8割は足ります。慣れてきたら②の重さを足す。③の香りは、余裕のある日に遊ぶくらいでちょうどいいです。
そして何より、高いワインを買う必要はありません。 スーパーの惣菜と1,000円台のワインでも、揃えるところを揃えれば、ちゃんとおいしくなります。当ブログが毎日やっているのは、それだけのことです。
まとめ
- 色を合わせる……まずは皿の色を見る。白い食材に白、赤い食材に赤
- 重さを合わせる……いちばん外さない。度数が目安になる
- 香りを重ねる……ワインの香りと同じものを、仕上げに少し足す
- 青魚に赤ワインは避ける
売り場でワインを選ぶところからつまずく方は、ワインのラベルはどこを見る?もあわせてどうぞ。グラスについては最初の1脚は何を買えばいい?にまとめています。